本格化する中古住宅市場
これまでの住まい選びは、新築が好まれる傾向がありましたが、これからは中古住宅の価値が見直され、流通市場が本格化するといわれています。
木造住宅の耐用年数20 年という常識のウソ
日本の住宅は、新築のときが一番高く、いったん住みはじめたら「中古住宅」になり、いきなり2割ぐらい市場価格がダウンします。20年も経ったら建物の価値はゼロで、不動産市場にでるときは「古家付きの土地」と見なされているのが現状です。なんだか、悲しい話ですね。
これは税法上の減価償却を基準にしているからで、実際の耐用年数とは関係ありません。定期的な点検とお手入れやリフォームで、住宅の耐用年数はずっと伸びます。
住宅の担保価値が低すぎると…
中古住宅の建物の資産価値=担保価値が低すぎることは、単に売主が損をしているということではなく、社会全体の問題です。たとえば、住みかえやリフォーム資金のローンを借りにくかったり、高齢世帯では、住まいを老朽化するにまかせているうちに、やがて市場価値を失い、空き家*が増加するという問題にもつながっています。
* 総務省が発表した2013 年の住宅・土地統計調査(速報集計)によると、全国の空き家数は820 万戸(住宅総数の13.5%)
アメリカは中古住宅の資産価値が高い
アメリカの中古住宅の流通シェアが90% であるのに対し、日本はわずか13.5%です。住宅投資額の累計と資産額を比べるとわかるとおり、アメリカでは、住宅への投資額、つまり住宅の建築、修理やリフォームにかけた金額に見合う資産額が積み上がっているのに対し、日本は投資額よりも資産額が500 兆円も下回っています。これは、日本では、中古住宅のメンテナンスやリフォームにお金をかけても、売却価格に反映されにくいことを示しています。
国土交通省が目指す将来像
国土交通省はこのような現状認識から、高齢化が進む日本の差し迫った課題として、中古住宅の流通を促進するための制度改革に取り組んでいます。中古住宅の建物評価のしくみを改善して、資産価値を増大させ、高齢世帯は安心な住みかえ資金を確保し、若年世帯は子育てに適した良質な住宅を購入できる将来像を目指しています。